人気のない応仁の乱がベストセラーになってるけど
この前、久しぶりに本屋に行ったら、応仁の乱について書かれた本がベストセラーになってました。そうか、その手があったか。歴史にはまだまだ重要なのに、知られていない(人気のない)事件がある。そこをつくのはおいしいんだな。
話題の本というのは「応仁の乱」(中公新書)。著者は中世史家、呉座勇一。名称は誰でも知っているけど、どんな争いだったのか説明できる人は少ない。
映画になっていて、今話題の関ヶ原のように、天下を2分した重要な争いなわりに詳細は誰も知らない「応仁の乱」。
応仁の乱の人気のない理由
室町幕府管領家の畠山氏、斯波氏の家督争いから始まっていろんなところを巻き込んで、将軍家の跡目争いも含みつつ、全国的な抗争となった。教科書的にいうと戦国時代のきっかけとなった乱。
人気のない要因、よく言われていることですが、
- タレントがいない
- 訳も分からず長期化した
こと以外に、僕が考えるに
後の為政者にとって重要じゃない
ということが挙げられると思います。
歴史は良くも悪くも、時の政治に利用されるものだと思います。
明治になって、楠木正成が持ち上げられたのがいい例です。
考えてみれば混乱しただけで、後のなににもつながってないし、混乱しただけに資料があまり残っていない。天皇も絡んでないし。
政治的に重要じゃなくても、歴史的には重要
応仁の乱の一番のポイントは世の中が無法化、無秩序化したことだと思います。この時期足軽以下の一部の兵卒はほぼ盗賊と化しています。
戦争にはお金がかかるものなので、長期化すると(もしくは最初から)兵士に対して給料への支払いが滞ります。
でも争いは続く。
そうなると、もうあれですよ、現地調達しかないわけですよ。というわけで略奪と、あと人をさらっての誘拐身代金ビジネスが横行していたと思われます。
どういう状態だったかというのは、クレイジージャーニーで取り上げられる危険地域のレポートが参考になると思います。特にソマリアを取り上げた時の話は、まんま戦国時代ってこんなんだったんじゃないかと思うような内容でした。
ソマリアでは紛争が長く続きすぎて、常に戦闘状態にあるというより何かあったら略奪、そして人質として捕らわれるのが最大の危険。特に外国人はお金になるので、すぐ狙われるそうです。もちろんさらっていく途中で死んでしまうのもしょうがない。
戦国時代は、逆に無法状態から自国内の安全を保障する権力者が現れて、安全圏を拡大していく過程なんじゃないかなと思います。
応仁の乱をメジャーにする方法
その時市井の人々はどのように生活し、生き延び、どのように政治を見ていたか。一般民衆の立場からみると非常に興味深く、確かに歴史の転換点でもあったと思われる応仁の乱。本がベストセラーにはなったけど、一般的に知名度が上がるにはやはりタレントは必要でしょう。
一応、大河ドラマになった(1994年放送「花の乱」)ことはあるんですが、いまいち。ここは一発逆転をねらってゲームになるしかないか。