忍術を使えないと大学院に入れない?!三重大学大学院で忍者・忍術学が受験科目に
忍者の故郷で有名な伊賀を抱える三重県の三重大学が大学院の入試科目に、忍者・忍術学を加えたそうだ。さすがとは思うが、いくらなんでも忍術を使えないと大学院に入れないなんて・・・
忍者入試
しかし、よく聞くと事情が全然違うようです。入試科目に忍者・忍術学を加えるのは、三重大学大学院の人文社会科学研究科地域文化論専攻の入試で出題される「専門科目」の部分。忍者を通して日本文化を理解するのが目的で、素早く移動したり、水の中に潜ったりというような忍者度を図るものではないらしい。そもそも紙の試験以外に運動能力を図るような実技の試験はない。
知らなかった忍者の本当の姿
いろいろ調べてみると、我々は忍者についてかなり勘違いしていたようだ。
まず、手裏剣がない。
手裏剣は武術であって、忍術で用いるものではないそうだ。身を守るために使用してはいたらしいが、忍者に特有のものではない。
水遁の術はない
竹の筒を加えて、お城の堀とか水中に長時間潜むやつですね。水中を移動することはあっても潜んだりはしないそうです。
強いわけではない
忍者といえば、秘密の特訓を積んで素早くて、やたら強いイメージがありますが、決してそんなことはないそうだ。
そもそも、伊賀の地は近江と尾張の間にあり、山岳に囲まれてしばしば権力の空白地帯になることが多かったそうだ。そこでは住民自らが自治を行わざるをえなくなり、権力の隙間をかいくぐるために、住民による情報収集の必要性がありました。
忍者の活動のメインは情報収集だったのですね。つまりはスパイ諜報活動。身を守るために多少武術の心得は必要でしょうが、多少であって強いことが必須ではない。それより見つからないようにするとか、情報の集まるところを知っている、少ない資料から情報を読み取る能力のほうが必要なわけです。
忍者は日本の歴史を正しく理解するためのきっかけ
そう考えると、確かに日本文化を理解するにはいいかもしれませんね。情報を入手する相手の生活様式を十分に理解しないと忍び込めないですからね。あと文書を読み取る能力にも優れていたんじゃないでしょうか。
それにしても、入学してから学ぶならともかく、入試に登場するとなると予め勉強しておかないといけません。このように忍者についてまったく無知なわけですからね。
まあ伊賀市には忍者博物館がありますし、三重大学は伊賀連携フィールドという組織を作り、積極的に忍者に関する研究を行っている。三重大学に行けば勉強できるわけです。外国の研究者もいるみたいです。
忍者といえば日本が世界に誇るアイコン。世界中の人が知っている。しかも今の自分、それ以上に勘違いした姿で。ここは我々が忍者の正しい姿を理解して世界に発信しようではありませんか。大学院には入れないけど。