現代に生きる神秘生き神様「クマリ」ネパールのカトマンドゥで3歳の少女が任命される
現代でも世界には神秘的な風習が残っています。ネパールでは「クマリ」と呼ばれる生き神様が存在します。先日カトマンドゥで3歳の少女が次の「クマリ」に選ばれたそうです。少女が生きたまま神様になるってどういうことなんでしょうか。
クマリとは
国の守護神である女神タレージュやアルナプルナの生まれ変わりで、密教の女神やヒンドゥー教の女神ドゥルガーが宿るとされています。
ネパールの各地にそれぞれクマリが存在しますが、それらはローカルクマリと呼ばれます。首都カトマンズのクマリは特別でロイヤルクマリと呼ばれ、予言によって国の運命を左右するほどの権威を持つ。「クマリ」というと主にこのロイヤルクマリのことを指します。
クマリには思春期前の仏教徒の少女が選ばれ、初潮が来るまでその任務を果たす。その上にさらに厳しい審査基準があって
- 健康である
- すべての歯が欠けていない
- 菩提樹のような身体
- 牛のような睫毛
- 獅子のような胸
- 鹿のような脚
- アヒルのように柔らかく透き通った声
- 黒い髪と目
などなど。
一切地面に足をつけてはならない(移動する時は専用の椅子に座って運んでもらう)など様々な制限がある。
クマリの役割
各地のお祭りで山車に乗り、人々に健康と繁栄を祝福したり、政府や役人から供物を受取り予言を行う。普段はクマリの館というところで生活しており、特別な儀式以外は外出しない。中で勉強したり、友達を呼んだりはできるようである。
クマリの役割がよく分かる映像がこちら。英語ですが見ているとなんとなく分かります。
お祭りで大観衆に熱狂的な歓迎を受ける様子
クマリのその後
初潮を迎える、乳歯がぬけるなどのその神秘性が失われる現象が起こると、クマリの任務は終了となり次のクマリを探すことになる。クマリの任務を終えた少女は普通の生活に戻ることを許される。
昔はクマリを終えたあと結婚してはならないなどの決まりがあったようですが、今では許されるようになり、元クマリの女性と結婚すると出世するなどとも言われています。実際にはその神秘的で公的な行事を経験しているため、世間の目から逃れることができす、不幸な後世を過ごすことが多いようですね。
ローカルクマリの中には50、60歳までその任務を果たすものもいるらしい。
クマリのその後について書かれたブログ。
クマリの問題点
本人の意志に関係なく、一方的に任命されるもので、思春期の自由を奪い、その後の人生に大きな影響を及ぼします。そういった観点から少女に対する人権侵害が指摘されています。なりたくてなっているわけではありませんからね。いえば、仏像やキリスト像の代わりにされているわけですから。
かといって、伝統に根ざした行事で、信仰の深い部分を担うだけに外からの価値観とは一番相容れない部分だけにやっかいな問題ではあります。