Valu疑似インサイダー取引事件に思う、これってねずみ講じゃないかということ
Valuという疑似株式システムでインサイダー取引に近い事件が発生して、話題になっています。調べるにつれ、そもそもValuってねずみ講じゃないのかって思いが強くなってきました。
Valuとは
↑Valu公式サイト
2017年6月に始まったサービス。「VA」という株式のようなものを発行して資金を調達する仕組みです。ユーザー(資金を集めたい人)が発行した「VA」に対して、投資家(Valuerと呼ばれる)は応援したいユーザーの「VA」を購入する。
ユーザーは集めた資金で、自分のやりたいこと(事業)ができる。そしてユーザーが活躍してユーザーの価値が上がれば、投資家は値上がりした「VA」を資産にできるし、売ってキャピタルゲインを得ることができる。
株式以外にもクラウドファンディングがValuに近いものとして挙げられます。Valuが個人に投資するのに対して、クラウドファンディングは具体的な事業に投資する。例えば「こんな映画を作りたい」と言って資金を集め、出資者には完成した際の映画のチケットとかで見返りがあります。
Valuの売買は仮想通貨ビットコインで行われます。
Valuの問題点
株式保有のメリットは、投資した会社の業績がよければ配当が得られること。あと、株価が値上がりすれば、持っている株式を売り払って差益が利益として入ってくること(キャピタルゲイン)です。
日々の株式市場の動向に注目が集まるあまり、株価の上がり下がりがメインに見られがちですが、株式の本来の意義としては所有して配当を得ることにあります。
この配当金にあたるものが、Valuでは優待制度と呼ばれるものですが、これが必須項目ではないんです。なくてもいいし、なんでもいい。逆に金銭に絡むものは禁止されたりします。
しかもこの優待制度、かなり緩くて「なんでも質問にお答えします」みたいなものまである。そこまでいかなくても全般にValuじゃなくても・・・というものばかり。
つまり、所有して得られるメリットがないんです。
ならばValuを購入する動機はどこにあるでしょう。単純に個人を応援するだけで投資する人が果たしてどれぐらいいるでしょうか。
所有するメリットがないとなると、期待するのは値上がりです。
そして参加者が少ないこと。値上がりしか期待できず、参加者が少ないと株でいうところの仕手株に近い値動きになりやすくなります。
仕手株は急激に高値になって仕手筋が売り抜けた後、急激に下がります。もう一度仕手筋が仕掛けない限り高値には戻ってきません。
値上がりしない限りは利益は得られない(損をする)。途中で売り抜けた者のみが成功する。この構造は非常にねずみ講に似ていると思います。
Valu的インサイダー取引
そんなValuですが、かねてから株式でいうところのインサイダー取引の可能性が指摘されていましたが、さっそく懸念されていた事態が起こったわけです。
どんな事件課というと
- 有名YouTuberのヒカルさんがValuを発行、優待制度も発表して期待を持たせる。
- 知り合い同士でお互いのValuを大量に買う。
- 大量の買い注文と期待感からValuが高騰する。
- ヒカルさんと知り合いは高値で売り抜ける。
といった具合です。
株式の世界では、株を持ち合うことには厳しい規制が設けられていますが、Valuはそういった規制はありません。内部情報を知る立場の人の購入を規制してもいません。
今回の件でValuの運営会社は対策を立てるようですが、まだ具体的な施策は示されていません。とりあえず事件当時者が自分の全Valuを買い戻すこと、当該取引で得た手数料収入は寄付することは発表されました。
もともと、みんなが期待していて「やりたいことがあるけど資金がたりない」という人に面白いことをどんどんしてもらおうというのがValuの理念だと思います。それがただのマネーゲームの道具に使われないように、しっかりした対策を立ててもらいたいものです。